#小説 【 卒業 】 -2-
- 2017/04/29
- 16:54
健斗が客席に来たのは30分後。店の制服の上に私服の上着を羽織り、スタッフ用のドアから出てきました。奥の席に大久保がいます。ノートパソコンをひらいてます。
「どうも、お待たせしました」健斗がテーブルの前で一礼。
「ああ、どうぞ、座って」顔を上げた大久保は中腰になって正面の席をすすめます。
「はい、失礼します」健斗はまたお辞儀して座ります。
「食事は? 休憩に食べるんでしょ? おごるよ」腰を落ちつけた大久保は尻ポケットから財布を出します。「なんでも買ってきて」千円札を出しかけます。
「いえ、いいんです」
「お腹すくじゃない、8時まで」
「いや、食べたんで、実は」
「そうなの?」
「いま奥で。それからここに」
「そう」少し遅かったのはそのせいでした。「ごちそうしたのに」
「いえ、知らない人の前で――いや、前でムシャムシャもどうかって」
「そうか。そうだね」大久保は苦笑い。「そんな仲でもないよね」
「いや、まぁ」
「飲み物ぐらいどお?」
「いえ、いいです。ありがとうございます」健斗が小さくお辞儀します。
「そう」大久保はうなずいて財布をしまい、「ここで健斗君に会えるなんて思わなかった。この店はわりとよく来るんだ」続けてノートパソコンを閉じます。バッグにしまいます。「いつから働いてるの?」
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